前回、一部のIPO銘柄に伴う大きな問題を一般の投資家が回避するためには、
「相応の洞察力と、明らかにクロと認識されるケースだけでなく、グレーなものにも一歩も近付かない、という一定の自制心が求められます。」
と書きました。
現実的な対処法としては、少し極端にも聞こえるかもしれませんが、
「原則として、IPO銘柄には手を出さない。但し、上場前からよく知っている企業のみ除く。」
というスタンスを採る事すら、多くの個人投資家にとっては、この点において有益なのではないかと、当社では考えています。
数年来のバブル的な高いパフォーマンスによって、IPOというものが、何やら大きな誤解を持って受け止められてしまった感がありますが、本来、IPOというイベントは、私企業のオーナーであった人物やグループ、つまり、その企業の内容に関して最もよく知っているであろうはずの人達が、その企業の一部を、新しい、多くの場合、その企業の内容をそれほどまでには知らない、投資家達を相手に、売却する機会でもあります。
元のオーナー達にとっては、「どのタイミングで」、「幾らくらいで」等という様々な条件に関して、彼らが満足出来ないものであれば、最初からIPOなど行う義務はありませんから、逆に言えば、新規の投資家達にとっては、この取引が本来、かなり不利になり得る可能性を含んだものであるということは、十分に認識しておく必要があるはずです。
それでも、高い倫理規範を持った売主達であれば、「内容のあまり良くないものを、法外に高い価格で、売り付けてしまおう」等とは考えたりはしないでしょうが、何らかの理由で、売主達がその様な良心的な考えをあまり持っていなかった場合には、そこに存在する売り手と買い手の情報格差というものが、先々までとても大きな程度で、買い手である一般投資家の頭痛を引き起こす原因となり得ます。
その為、あくまでリスク回避型として考えるのであれば、ではありますが、「基本的には参加する」とは全く逆のアプローチ、すなわち、「基本的には不参加、但し、上場前からその企業の運営方針や哲学、そして何より事業の価値の大きさに注目していて、その内容を十分に理解することが出来ると思われる場合にのみ参加する」というくらいが、個人投資家がIPOに絡む大きな間違いに巻き込まれないためには、適切な態度なのではないかと、当社では考えています。
「何となく気になる」程度の企業であれば、上場後、多くの人々の目に晒され、情報開示義務のレベルも格段に上がっての期間、その企業、そして経営者の振る舞いを注視してみた上で、その企業の真贋を評価する、といったプロセスに沿うことだけでも、相当数のダメージの大きな間違いは、防ぐ事が可能であろうと思います。
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