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オイシイ商品は存在しない

これまでの回でも述べてきた様に、資金の運用において平均よりも良い成績を得るためには、人から抜きん出て「安く買って高く売る」ことの出来る技能を磨く必要があります。

割安な株を見抜く目利きの力を備える、というのも一つでしょうし、住宅投資に賭けるのであれば、リノベーションの技能を修得して、高く売る事の出来る能力を身に付ける、というのも一つかもしれません。

いずれにしても、一部の人々が期待してしまうような、「何も放棄せずに、ほどほどに良いリターンを得る」事の出来るような甘い話は、残念ながら存在し得ません。

何故ならば、それを手に入れる事に何の苦労や失うものも伴わない以上、そのような金融商品や運用手段がどこかに存在した瞬間に、誰しもがその商品や手段に押し寄せ、それはその商品の価格を押し上げ、その結果、元々あったリスクとリターンのバランスを、瞬時に変えてしまうはずであるからです。

また、例えば、ある人が、その分野の多くのプロ達よりも確かな目利きの力や情報を持っていたという訳ではなく、ただ何となくバイオの分野が面白いと感じたから、という理由をもってバイオ企業に投資を行い、結果として大きなリターンを得た場合、

もしかしたらその本人は「自分の慧眼たるや」と心酔し、自分の投資は「リスク少なく、リターンが高かった」と認識してしまうかもしれませんが、実際にはそれは、ルーレットや宝くじに当たったのと同じ様に、基本的には殆ど運任せの行動に、今回運良く幸運が訪れた、ということに過ぎず、本当は、結果が逆に振れる可能性も等しくあった、つまり非常にハイリスクの行動であった、と考えるのが、合理的であるはずです。

一方で当社では、現代のファイナンスの世界でよく語られる様な、全ての(インサイダー情報以外の)情報は、関連する証券の価格に反映されてしまい、投資家は常に、追加のリスクを負わずしては、平均以上のリターンを追求することは出来ない、という考えには組していません。

現代においては、非常に多くの情報が、多くの手段によって得ることが可能であることは事実ですが、それらを実際の証券価格に反映させるプロセスは、極めて属人的であるため、それを扱う人物の技能・知見の有無によって、結果は非常に大きく変わり得る、というのが、当社のこの点に関する見解です。

つまり、上記の二点を単純化すると、「誰でも気が付く様なところには、平均よりも有利な商品など存在し得ないが、多くの人々が目を向けていない情報がある分野や、情報を間違った形で理解・認識している分野には、時に平均を大きく上回るリターンを得る機会が生じる可能性がある」という見方となります。

後者の場合、追加のリスクを負うこと無しに、平均を超えるリターンを追及することが可能になっていると当社では考えていますが、この場合も、単に良いとこ取りの状況が用意されているという事では無く、絶えずそのような埋もれた分野を探し出し、本当にそれが大きなリスクを負うこと無しに高いリターンをもたらす可能性のある分野や企業であるのか、を評価し続ける作業やそれに伴うコストを厭わない、という部分での「放棄」を、行っている事になります。

その意味で、やはり「単純にオイシイ商品などはどこにも存在しない」という、古くからの常識は、運任せでなく自らの資産を増加させたいと願う個人投資家にとって、常に念頭においておくべき大切な事柄ではないかと、当社では考えています。

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