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株価評価(1)PER

以前より当コラムでは、当社が実際に企業の価値を算出する際に用いる手法として、DCF(割引キャッシュ・フロー)法を挙げてきました。

一方、一般に広く用いられる株価評価の指標としては、他にも多くのものが存在し、その内の一部は、一時期は持て囃されたものの、その後はほとんど見向きもされなくなったり、また、有用性が非常に高いにも関わらず、投資のビギナーにとっては十分な理解までに一定のハードルがある為に、あまり広く語られる事は少ない手法や指標、その全く逆のもの、なども同様に存在しています。

今回はその中でも、おそらく最も一般に認知度が高いであろうPERという指標を取り上げ、その意味やその限界などについて述べてみたいと思います。

まず、PERとは、Price Earnings Ratio の略で、日本語では株価収益率とされ、株価を一株当りの利益で割ることにより求められます。また、欧米では、P/Eと表記するのが一般的です。

一般には、「この数値が低い程、株価は割安である可能性が高い。一方で、これが高い企業は株式市場から成長性の高さを評価されている可能性もあり、また、業種などによって、高低に差があるのが一般的であるため、一概にPERのみをもって割安・割高の判断を下す事は出来ない。」 などといった説明がなされている事が多いのではないでしょうか。

ただ、一読して分かる通り、これでは実際のところ、何らかの有用性を示すのは難しくなってしまいます。

その為、一部のアナリスト・レポート等では、企業の属する業種によってそのビジネスの成長性は異なる、との前提条件の下で、同業種の企業を比較する際に、例えば、

「株価上昇は続いているものの、A自動車のPERは依然14倍強の水準に留まっており、これはB自動車の17倍、C自動車の18倍と比較して、割安感が残る」

といった形で用いられています。

しかし、この場合には、例えば、顧客が求める自動車を長年提供することが出来ず、その利益がジリ貧の状態にある企業と、健全な利益成長を続けながら、顧客の製品利用満足度も高く、年々そのブランド価値を高めている(=将来の更なる利益成長の足掛かりが築かれている)企業との違いを、両社のPERにおいて、どの様に扱うべきなのか?といった問題が残ります。

それでは、弱い企業の方のPERに調整を加え、強い企業のそれよりも低いのが妥当としよう、といった事がよく為される訳ですが、その場合は、その調整値を2倍とするべきなのか、或いは多目に見積もって8倍とするべきなのか、といった自然な問いに対しては、残念ながら、この方法はあまり満足感の高い回答を示してはくれません。

(次回に続きます)

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