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バーゲンセール(1)

一般に好まれることの少ない数式の説明は、当コラムでも出来るだけ省くことにしたいと思いますが、 ファイナンスの理論では、将来に亘って一定額の利息(クーポン)を永久にもたらしてくれる債券の価値を、非常に簡単な数式を使って、求めることが出来ます。

つまり、その一定額の利息を、その時の市場金利で、ただ割るだけで良い、 という事になります。

例えば、毎年利息が500万円、しかも永久に、受け取る事の出来る債券の価値は、 その時の市場金利を2%とすれば、

500万円 ÷ 2% = 2億5,000万円

となります。

(数学は嫌いではないので理論を理解されたい、という方は、ファイナンスの基本書を手に取って頂ければ、大抵一番最初の辺りに説明が載っているはずですので、ご参照ください)

これは、裏を返せば、2億5,000万円持っていれば、その時の金利2%で運用するだけで、毎年500万円が得ることができる、という直観的にも理解しやすいことを見ているのと同じ事になります。

常識的な状況では、この債券を売りたい人は、当然に2億5,000万円未満の価格では売りたくないでしょうし、この債券を買いたい人も、これも当然に、2億5,000万円を超える価格では、買いたくないはずです。

モノの価格は、このような買い手と売り手の間での綱引きで決まりますから、普通に考えれば、この債券の価格は、やはり、2億5,000万円に落ち着くことになります。

ただ、「常識的な状況では」「普通に考えれば」その通りなのですが、仮に、皆さんの知人であるこの債券のある投資家が、幾つかの個人的な事情によって、あまりそのような冷静な判断が下せない状態だとしたらどうでしょう?

例えば、その知人は、知り合いの不動産業者から、一日で即決・支払をしなければならないけれど(聞くからに怪しい話ではありますが)、まさに彼が長年思い描いていたような、ロケーション、デザイン、その他諸々に申し分のない、コンドミニアム(価格2億円)の購入を、昨晩紹介されたばかりで、熱にうかされるように、何としても2億円+αの資金をすぐさま作りたいのかもしれませんし、また別の事情かもしれません。

その事情の内容は別として、この様な状況で、たとえば彼の知人である皆さんが、すぐに2億2千万円は支払って彼の債券の買い受けを即決できる、というのであれば、皆さんにとっては、2億5千万円の価値のあるものを、12%引きで譲り受けることが出来るかもしれません。

但し、これは、あくまで誰かが明らかに合理的ではない判断をしている場合であって、2億5,000万円という、非常に明らかな価値の基準が存在している状況では、やはり滅多に起こり得ない出来事と考えるべきだと思います。

さて、それでは、ここでこの「一生、生活費(或いはその一部)を賄ってくれそうな債券」の事は忘れ、株式の場合ではどうでしょうか?

次回はここから見ていきたいと思います。

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