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基礎的な分析手法(3)

今回は、前回までの例(リサイクル・ショップ)を用いて、もう少し違ったポイントを考察してみたいと思います。

前々回のケースで、このリサイクル・ショップの業績は、

「そして、その企業の1年間の売上高は100億円、営業利益は10億円、つまり営業利益率は10%、だったとします。 」

との仮定を置いていました。

そこで今回は、この売上高と営業利益の間に、次の二つの仮定を加えてみます。

・売上原価:40億円

・販管費(販売費及び一般管理費):50億円

つまり、この企業は、個人のユーザーから40億円で仕入れた中古の電化製品(売上原価)を、きれいに掃除し、100億円で中古家電を探している個人顧客に販売し(差し引き60億円の粗利を得て)、50億円の費用で、残りの店舗の賃借料や、社員・パートさん達への人件費などの諸々を負担し、結果として、営業利益として10億円を得ている、という状況にあります。

これを、例えば前回までと同様、店舗ごとに分解してみる、という事も出来ますが、今回は、また少し違った分解をしてみます。

具体的には、40億円で仕入れた中古の電化製品(売上原価)に注目してみましょう。

40億円という金額は、決して小さくない額ですが、店舗の賃借料や、人件費の総額が50億円であることを考えると、この水準は、一つの商売を回していく上では、経営者や株主にとって、それほど悪い金額では無いようにも映ります。

しかし、ここで考えてみたいのは、売り手である個人ユーザーにとっての「実感」がどのようになるのか、という点です。

ここで、新たな追加のデータとして、この企業が上記の一年間に販売した電化製品の平均単価は、5万円であったとします。

この平均単価から想像できることは、このリサイクル・ショップは、「安かろう悪かろう」の中古製品を扱っているというよりも、比較的高額、或いは程度の良い商品を中心に、一つ一つの製品にそれなりの価格を付けた上で、買い手である個人顧客に販売している、ということです。

ここで、より直感的に捉えることの出来るように、これら電化製品の、今度は買取の平均単価を、計算してみます。

すると、100億円で販売している分は40億円で仕入れている、つまり、この企業の売上原価率は40%、ですから、平均販売単価の5万円に対し、その電化製品を持ち込んだ個人に対しては、平均2万円を支払っている、ということになります。

そして、一商品平均で見ると、残った3万円の利ザヤ(粗利)から、諸々の経費として一商品当り2.5万円が使われ、結果として、0.5万円の営業利益が、このリサイクル・ショップの手元に残ることとなる訳です。

この姿を理解した時に、投資家が投げ掛けるべき問いの一つは、「このビジネスモデルは、果たして本当に効率的なのか?」というものです。

特に、電化製品を持ち込む個人の視点から眺めると、平均的には、きれいに掃除をするだけで店頭で5万円の価格が実現できる電化製品を、2万円で売り渡し、残りの3万円は、企業の費用と利潤として、外部に流出している状態です。

これでも、他に代替的なものが無ければ、使わないものをただ抱えておくのはかえって不経済ですので、「・・仕方が無い」という事にもなり得ます。

一方で、ネットオークションなどの、この手のリサイクル・ショップのサービスの代替となるような機会が社会に浸透してきており、且つ、様々な点で、その利便性・安全性も時とともに高まってきている状況では、売り手が追加の労力(出品、梱包など)を惜しまない限り、リサイクル・ショップ経由では消えていってしまっていた3万円の少なくとも一部を、取り戻せる可能性も高いはずです。

そこから先は、また別の検討(将来的に、ネットオークションに流れていってしまうと考えられる顧客層は、どの程度存在するのか)を行ってみる必要がある訳ですが、

このように考えると、このリサイクル・ショップへの投資を検討する際には、前回見たような、販売の側の状況をきちんと把握するだけでなく、仕入れの側の状況を、特に売り手の感覚といったものを踏まえながら、理解しておくことが重要になります。

それを行う上でも、今回のように、ただ漠然と100億円、40億円という大きな数字を眺めているよりも、自分にとって十分にイメージのしやすい、一商品当りの価格に直してやることによって、結果的に、投資対象のより深い理解につなげていくことが、可能になるのではないかと思います。

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