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株価評価(7)PBR

前回の内容を踏まえると、それでは、何も気長になど待たず、株主の資産の価値が、国債などがもたらす価値を下回り始める前に、市場で売り抜けてしまえば良いのではないか?という疑問が生じた方もいらっしゃるかもしれません。

しかし、前回のような単純な計算、条件といったものは、合理的な考えを持った市場参加者であれば、当然認識済みであると考える方が自然ですから、「低いPBRと堅い利益」を持った「一見すると割安、実際には割高」という株式をひとたび購入してしまった投資家は、理論上、(冴えない将来の収益性に起因する)既に抱えてしまっている損失を出さずに株式を売り抜けるためには、自分よりも事情に疎いビギナーが、幸運にも自分の株式を、実態以上の価格で買い取ってくれることを、願うほか無くなってしまいます。

そして、こうなってしまうと、これは既に投資といえる行為よりもむしろ、頼るべき合理的な根拠に乏しい、投機的な色彩の濃い行為に、相当近いものであると言えるはずです。

つまり、これは低PBRの株式に限ったことではありませんが、個別の投資が満足のいく利益を上げるものであるかどうかは、本質的には株式を購入したその時点で決定してしまうものであり、それ以上の根拠に乏しいリターンを得たり、企業の実態価値に比べ高値掴みをしてしまうことによって本来は投資時に確定してしまっているはずの損失を免れようとすることは、実際には、全面的に運や偶然に頼ったギャンブル的な要素に期待をしているのと同じことで、

更に問題を大きくしてしまうのは、多くの個人投資家が、こういった実態を十分に認識せずに、本来であれば、ただのギャンブルには投じないであろう比較的大きな単位の金額を、株式市場という名の鉄火場で、リスクに晒してしまっている事だと思います。

それを認識するのであれば、上記の低PBR株の例で挙げたような「株主の資産の価値が、国債などがもたらす価値を下回り始める前に」はおろか、たとえ一時でさえも、支払う価格に対して本質的に割高な株式を保有してはならない、つまり、最初から買ってはならない、ということになります。

不思議なことに、「長く持つには確信を伴わない資産だが、1年であれば、オーバーナイトであれば、或いは数分間であれば、まさかわざわざその期間に、運悪く自分に不利な何かが起こりはしないだろうから、大丈夫だろう」という判断は、個人だけでなく、多くのプロの投資家の間でも頻繁に行われているものですが、

ネットカジノ(ペイアウト(払い戻し)率の非常に高い、が、商売である以上、当然100%よりはわずかに低い)を相手にとり、長期間、自身の全資産を賭け続ける人の予想される結末が一文無しであるのと同じように、そういった自分達にとって都合の良い結果のみを期待し、実際には資金を大きな損失の可能性にさらす行動の危険性、無謀さは、本来もっと正しく認識されるべきではないかと、当社では強く感じています。

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