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「経営者」の評価を考える(2)

(前回より続きます: 「」部分は、7月5日付日経金融新聞からの引用箇所)

(買収防衛策の導入などについて)

「必要ない。
私より優秀な経営者がいるのならいつでも代わる。
企業の価値を上げてくれるのなら喜んで売る。
安易な防衛策は、役員の地位保全につながりかねない」

買収防衛策の導入に関しては、賛否両側の意見がありますが、 当社の見る限り、少なくとも少数株主となる一般の投資家にとっては、 同社長のこれに臨む姿勢は、健全かつその利益に沿ったものとなる 可能性が高いものであると思います。

そして、その姿勢は、

「社内で一番、危機感を持っているのは私だ。
もし私が経営から外れれば、株価は半分になるだろう(後略)」

という自信から来るものでもあるのでしょう。

(株価について)

「株価は長い目で見て欲しい。
四半期決算が主流になって、短期で経営の話をする人間が増えてきた。
オーナー経営者の方が長い目で経営しやすい。
株主総会でも「私のやり方に異論があるのなら、どうぞ売ってくれ」と話した。
自社株買いを求める声もあったが、やらないと明言した。
M&Aで資金が必要な時に自社株買いすることは資金政策上、つじつまが合わない」

オーナー経営者であるという事情を踏まえても、特に多くのM&Aを手掛けることから もともと資金調達ニーズの大きい企業の社長が、自社の株式を「どうぞ売ってくれ」とは、 なかなか言えるものではありません。

このような発言を問題視する向きも皆無ではないでしょうが、当社の経験では、自社の特性を熟知した上で、それに相応しい株主を招き、そうでない投資家を遠ざけようとする努力は、優れたトラックレコードを持つ経営者であればあるほど、継続して行っているものです。

たとえば、1ヶ月で企業価値を3%上げて欲しいという株主の要求と、1年で30%上げて欲しいという要求、或いは3年で2倍に、といった異なる要求に対しては、それぞれに応えるための企業運営の方法論が大きく違ってくるのが当然です。

その場合、企業の経営者が、現時点で最適と考える運営の方針に利益が一致する株主のみに「同じボート」に乗って欲しい、と願い働きかけることは、正しく職務を果たそうと考える経営者にとって、自然なことであると当社では考えます。

また、しばしば見過ごされる点ですが、より高い効率で資金を活用できる手段を持つ企業にとって、自社株買いは、現在の株主にとって、最善の資金の使い方とはなりません。

しかしながら、特に国内ではまだまだ、株主に対しそのことを毅然と主張する姿勢を持った経営者は少ないように思います。

その他にもインタビュー内では、親子上場や社外取締役のテーマ(同社では子会社上場が維持されてお り、また、社外取締役はゼロ。これは近年我が国のコーポレートガバナンスのあり方に大きく影響を与えている、特に米国のスタンダードからは離れた形)などに関して、示唆に富む見解が示されており、 投資に不可欠な経営者の評価を考える上で、多くの投資家にとって、非常に有益な内容ではないかと思います。

機会がありましたら、是非全文を通してお読みになることをお奨め致します。

*当社では現在、同社株式に関する助言、或いは助言対象候補としての調査、を行っておりません。
当記事はあくまで、実績ある一経営者を考察する目的のみにおいて取り上げたものである点、ご了承下さい。

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