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株価評価(9)EV/EBITDA

前回は、投資検討に用いる指標の一つである「EV/EBITDA」の分子の 部分、EV(企業価値)についての説明を終えたところでした。

さて、いよいよ分母のEBITDA、その訳も同じく長い、 「利払い前・税引き前・減価償却前・その他償却前利益」 を見ていきましょう。

前回ご説明したとおり、「EV/EBITDA」も、端的に言えば、 「その企業を丸ごと買収した場合に、何年で元が取れるのか」 を表そうとしたものに過ぎません。

そして、ここでは、投資家が企業を丸ごと買収すると考えた場合に、 分子(EV)の部分に、PERのように支払う必要がある株式の部分の価格(時価総額) だけでなく、会社が抱える借金部分に関しても、合わせて考えることになっている、 という事でした。

それを、EBITDAという、回収に使えそうな、キャッシュ・フローに 近そうな、数値で割ってやることで、投資家が買収にあたって 投じたと想定できる全額であるEVを、現在のEBITDAという、その回収に使えそうな もので、何年で回収できると考えられるのか、を示したものが 「EV/EBITDA」である、ということになります。

そして、上記の説明が、

「回収に使えそうな」

「キャッシュ・フローに近そうな」

といった、何となく歯切れの悪いものになっているのは、偶然ではありません。

「利払い前・税引き前・減価償却前・その他償却前利益」

というEBITDAの定義を見ると、まず、「税引き前」ですので、 このEBITDA自体は、税金を払わないことを想定した利益の概念ということが 分かります。

つまり、その点で、PERの計算などで使われる「税引後の利益」と比較すると、 大きく離れた(通常は税金分だけ多い)数字になります。

また、「利払い前」ですから、借りている資金に伴って、例えば銀行などに 利息を支払っていたとしても、その分を払っていないものとして、計算された 利益概念です。

ここでも、その分だけ金額が増えた(足し戻された)利益、という事になります。

更に、「減価償却前・その他償却前」でもありますから、多くの企業の費用の 大きな部分を占める、償却関連の費用(会計用語を好まない方向けの、 非常に単純化したイメージとしては、自社工場や、そこで使う機械を保有するのに 必要な費用など、と考えて頂ければと思います)も足し戻す、つまり利益に 加えられてしまいます。

このように、EBITDAとは、かなり「膨らんだ」 利益概念であると言うことが出来ます。

そしてそれが、先程の説明において「回収に使えそうな」、 「キャッシュ・フローに近そうな」といった表現を用いた理由に他なりません。

では、何のためにこのような利益概念を用いるのでしょうか。

一つには、国内においてのみではなく、国をまたいで、複数の企業の業績比較を 行おうとした場合、たとえば、各国の税制や、会計制度は異なっていることが 普通です。

その際、「スペインのSPA(製造小売業)であるA社は、米国のSPAであるB社 よりも、収益性が高いと言える。なぜならば、支払っている税金が少ないから である」などといった、その企業がどこの国に属するかに結論が完全に 依存する結果とならないために、両社の業績から、そのような各国の税制などの 条件に左右される部分の影響を、取り除いて考える必要が出てきます。

そうでなければ、真の収益力を相対的に量ることは出来ず、 そのため、それら項目をEBITDAという利益概念の名の下に足し戻す、 という用途が存在します。

もう一つの説明は少し長く、若干込み入った内容でもありますので、 次回に続きたいと思います。

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