ホーム > 投資コラム > 世界の株式市場から(3)TDアメリトレード社
TD AMERITRADE Holding Corporation(NASDAQ市場:AMTD、以下AMTD)社及びグループ各社は、米大手オンライン証券、ディスカウント・ブローカーの一角を占める。
米国内の主に大都市圏に、100を超える支店網も有しており、以前当コラムにて取り上げたチャールズ・シュワブ社も同様であるが、米国では個人投資家との直接的な取引のみでなく、独立した投資顧問業者を通じての取引の存在も大きい事が特徴的である。
顧客へのサービス提供にあたっては、シンプルで低水準の手数料体系に特色を持つ。
また、業務拡大にあたり、M&Aに非常に積極的な姿勢を採っている。
2006年1月にも、同社が税引前で約6.8億ドルの相乗効果実現を期待する、TD Waterhouse社の大型買収を完了した。
2006年12月時点での取引システムのキャパシティは、1日約60万件であり、2006年度の実績ベースでは、1日平均約21.7万件の取引が行われていた。
参考までに、国内のオンライン証券大手である楽天証券の例を取ると、同期間の1日当り約定件数は、約14万件から約23万件にて推移しており、
あくまで双方の数字を単純比較した場合との条件付ではあるものの、
楽天証券の2006年9月末の口座数は約62万、AMTDの2006年9月29日時点での口座数は、一定条件を満たしているものだけでも約324万に達しており(TD Waterhouse買収による増加分を含む)、楽天証券における顧客のトレード頻度が、相対的に非常に高くなっていることが見て取れる。
そして、弊社の調査に基づく限り、これは一般に日米のオンライン証券間の顕著な違いの一つでもある。
また、オンライン証券先進国の米国ではあるが、2006年度のAMTDの1トレード当り平均手数料は、2004年度とほぼ変わらずの13.4ドルとなっており、チャールズ・シュワブ社の、2006年度の1有料トレード当りの手数料も同じく13.4ドルであった事、業界各社の損益構造、などを併せて評価すれば、現状では著しく「薄利多売」の状況にある訳ではないことも見て取れるであろう。
2006年度末の従業員数は、フルタイム換算で3,947名、TD Waterhouse買収前の2005年度末は同2,052名。
買収後でもチャールズ・シュワブ社(2006年度末:約1.24万人)の水準を大きく下回り、業界の環境次第では、この差が人件費・固定費としてのテコの役割を損益計算書上で果たすため、両社の損益変動の違いを際立たせる要因となる。
2006年度の純収益は18.0億ドル、内、取引数に応じて発生する手数料収入は7.3億ドルと40.3%を占める。
4期前の2002年度には同比率が58.6%に達していたことを考えれば、大幅に資産管理型ビジネスへの移行が進んできていると言えるが、2006年度のトレーディングに伴う手数料収入が純収益の16%に過ぎないチャールズ・シュワブとの比較では、依然として、相場環境の動向に収益動向がより大きく影響されやすい状況に身を置いていると考えることが出来る。
過去3期の年度業績は以下の通り。
純営業収益 税前利益 純利益
2006年9月期 18.0億ドル 8.6億ドル 5.3億ドル
2005年9月期 10.0億ドル 5.5億ドル 3.4億ドル
2004年9月期 8.8億ドル 4.6億ドル 2.8億ドル
同社の株価は、過去2年程度、概ね停滞気味の推移を見せてきた。
http://finance.yahoo.com/q/bc?s=AMTD&t=2y&l=on&z=m&q=l&c=
一方、期間を過去5年程度に広げると、同社株式は投資家に相応のリターンをもたらしてきていると言える。
http://finance.yahoo.com/q/bc?s=AMTD&t=5y&l=on&z=m&q=l&c=
本記事の執筆時点では、同社時価総額は約100億ドル、過去12ヶ月の実績利益に基づくPERは17.8倍、PBRは4.9倍の水準となっている(Yahoo!Finance)。
(2007年8月9日:同社10-K、News Release、チャールズ・シュワブ社10-K、楽天証券開示データ等より弊社作成)
*本記事は情報提供のみを目的として作成されたもので、有価証券の売買を目的としたものではありません。
弊社は有価証券の価格の上昇又は下落について断定的判断を提供することはなく、本記事をもって有価証券の売買を勧誘するものでもありません。
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