ホーム > 投資コラム > 世界の株式市場から(4)ムーディーズ・コーポレーション社
本シリーズ「世界の株式市場から」では、国内メディア等で取り上げられることの少ない世界各国の上場個別銘柄の概況を、簡潔に取り上げています。
国際分散投資の入り口的な情報として、また、国内企業への投資にあたっての国際間比較等の補足的情報として、ご活用頂けましたら幸いです。
Moody's Corporation(MCO:NY市場)
・同社ムーディーズ・コーポレーションは、世界的格付け機関の代表格の一社。
競合にS&P(スタンダード・アンド・プアーズ)、フィッチ、DBRS、その他地域の格付け会社などが存在する。
・近年のファイナンス手段の複雑化の恩恵を最も大きく受けてきた企業の一つであり、2002年度から2006年度の4年間で、売上高は2.0倍、営業利益は2.3倍に成長した。
それに伴い、株価も大きな上昇を示してきた(レポート末尾参照)。
・格付け対象の増加のみならず、サービス単価の上昇が業績向上に貢献している状況にあり、同業界、或いは同社の売り手優位の状況ぶりが窺える。
また、2006年度の同社営業利益率は61.8%にも達し、同ビジネスの驚異的な収益性の高さを示している。
・収益の多くを占めるのは、仕組み金融(最近話題になることの多いCDO、RMBSなどはその一例)に対する格付けサービスであり、2006年度はこれが全体の44%を占めた。その後にコーポレート・ファイナンス(19%)、金融機関・ソブリン格付け(13%)が続く。
・地域別では、収益の63%を米国に依存する。成長著しい欧州は26%、その他地域が残りの11%を占める状況。
・世界的な事業地域の拡大が成長戦略の根幹であり、中国、中欧・東欧、中東などへの進出を積極的に進めている。
・上記の成長戦略とも関連して、同ビジネスには政治的リスクを伴う可能性がある。
地域によっては、政府が自ら主導で格付け会社を設立する、支援するなどの可能性が常に存在し、その背景には、米国企業中心に発展が続き、且つグローバル化の進む金融市場での存在感を急速に高める格付け産業に、警戒感・嫌悪感を持つ向きが多いという事情がある。
・所謂、”机一つで出来るビジネス”の代表例であり、同社のキャッシュフロー・ステートメントはその状況を如実に物語っている。
過去3年間の営業キャッシュフローは、各々752.5百万ドル、707.9百万ドル、526.2百万ドルであるが、その内資本支出(CAPEX)として使われた金額は、わずかに各々31.1百万ドル、31.3百万ドル、21.3百万ドルに過ぎない。
近年はその豊富なキャッシュ創出力を背景に、多額の自社株買いを行ってきた。
・米国の著名投資家ウォーレン・バフェット氏率いるバークシャー・ハザウェイがその株を保有してきた事でも知られている。(バークシャーは、同社の前身であるダン・アンド・ブラッドストリート(D&B)社時代から保有を行っていた)
・最近のサブプライムローン問題に絡んでは、「戦犯」としての責任を指摘されることも多い。
住宅ローンなどの原資産を証券化し、それをさらに切り分けて商品化する、などの複雑化した調達手法が広く用いられる中で、大半の投資家にとってブラック・ボックス的要素の高まった数多くの金融商品にお墨付きを与える格付け機関の役割は、それだけ大きく欠かせないものとなっていた。
批判内容としては、そもそもの格付け基準の妥当性、商品の内容毀損が疑われてからの格付け見直しのタイミングの遅さ、などが取り上げられることが多い。
現在では、お膝元の米国だけでなく、欧州でも批判的論調が俄かに高まりを見せている。
過去5期の年度業績は以下の通り。
純営業収益 営業利益 純利益
2006年12月期 20.4億ドル 12.6億ドル 7.5億ドル
2005年12月期 17.3億ドル 9.4億ドル 5.6億ドル
2004年12月期 14.4億ドル 7.9億ドル 4.3億ドル
2003年12月期 12.5億ドル 6.6億ドル 3.6億ドル
2002年12月期 10.2億ドル 5.4億ドル 2.9億ドル
同社の株価は、過去5年程度に亘り優れたパフォーマンスを示してきたが、最近は上記の信用問題に絡んだ影響の中、短期間で3割程度の落ち込みを見せている。
http://finance.yahoo.com/q/bc?s=mco&t=5y
一方で、株価下落とこれまでの利益増加は、各種指標から見た同社株式の割安感を高めることに繋がっており、本記事の執筆時点では、同社時価総額は約125億ドル、過去12ヶ月の実績利益に基づくPERは15.2倍の水準となっている(Yahoo!Finance)。
(2007年8月22日:同社アニュアル・レポート等より弊社作成)
*本記事は情報提供のみを目的として作成されたもので、有価証券の売買を目的としたものではありません。
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