前回は、ROEという指標につき、
”ROEそれ自体が示すものは、単純に投資家の資本を1年間でどれだけ
経営者が増やしてくれたか、というパーセンテージであり、
これが高いということは、その1年間に経営者が皆様のような投資家にとって
良い仕事をしてくれたという証左である可能性が高く、1年程度の期間であれば
その差はそれほど大きくなくとも、期間が長くなればなるほど、
このROEの違いが、投資家の実入りに段々に大きな差をもたらすことになる"
というところまでご説明しました。
(前回の内容は以下弊社コラムバックナンバーにてご確認下さい)
http://genuine-investments.co.jp/2008/08/post.html
今回は、実際の株式投資において、このROEを見る際に投資家が注意すべき点、
換言すればROEの限界、についても見ていきたいと思います。
まず、
(1)長期で現在のROE水準を維持できるか?
という点が重要となります。
これは前回の説明の中で、
”つまり、もし上記のA−C氏のROEが、今後15年間変わらなかったとすると、
X氏の投じた元手の100万円は15年後に、
A氏によっては、1,541万円
C氏によっては、2,842万円
B氏によっては、9,016万円
にそれぞれ、増やされることになります。 ”
とありましたが、重要なのはこの中の”今後15年間変わらなかったとすると”という仮定であり、どのような経営者、どのようなビジネスにあっても、高いROEの水準を長期にわたり維持することは簡単ではありません。
しかしながら、前回見たように、株主・投資家にとっての大きな価値の創造は、
まさしくこの長期の高水準なROEから生まれます。
この重要さを理解するために、簡単なシミュレーションを提示しておきます。
上記のA氏のケースでは、
・ROE20%を15年間維持可能
としていましたが、これを、
・当初のROE20%から、毎年2%ずつROEが低下していき、8年目で
6%になった時点で下げ止まり、以降は15年目まで6%を維持
へと条件変更すると、1,541万円(15.41倍)まで増えたはずの元本
100万円が、今度は397万円(3.97倍)までしか増えない計算となり、
年2%のROEの侵食が長期間では投資家のリターンを大きく減じることが
見てとれます。
よって、投資家がROEを確認する際に大切なことは、目の前にある
「過去の」「静的な」指標に過ぎないROEの一数値を評価するに留まらず、
同時にその水準の持続可能性を検討することです。
高いROEを示すビジネスとは誰にとっても魅力的なビジネスでありますから、
常に業界内外からの熾烈な競争にさらされやすいという性質を持ち、
その高いROEを保つことの出来る理由(競争優位性)を持たない企業であれば、
いずれ妙味の大きいビジネスを奪われ、低いROEに甘んじる結果となります。
そのため、この当初のROEの持続可能性は、株式投資・株価評価においても
時間を掛けて行うべき、非常に重要な検討項目となります。
(次回に続きます)
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